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窟壁画の模写等が陳列されていて興味を誘われた。(ただし、ここも展示、休憩、トイレ、売店等の整備が不充分であったのは残念であったが。)
このような施設が各地に開発されることを期待したい。

 

4. 土産物の差別化

今回の調査で観光地をかなり回ることが出来たが、極端に言えば、砂漠の真ん中にある玉門関の土産物屋でも敦煌や蘭州の土産物屋やホテルの売店でも売っているものは同じである。絹のハンカチ・スカーフ・ご婦人向きの上着や下着、夜光杯といわれる杯、手頃な値段の宝石類、敦煌の壁画を模写したものや漢詩等を書いた掛け軸、観光地のガイドブック等である。
嘉峪関では、ハンドクラフトを作っている所を見学した。そこにも売店が併設されているが、砂漠の石を利用した壁掛と高価な絨毯が目に付いたが、その他は特にその他の売店と大きな違いがなかった。値段的にも違いが感じられなかった。ハンドクラフトセンターのような場所では、品質の違いと値段の違いが分かるように並べて置いてみせ、標準的な品質と標準的な値段が分かるようなことをすることが望ましい。
特定の地へ行けば特徴のあるものが購入できるというような土産物があると、その土産物がその地の特定の観光資源になりうる。その地だけの絵はがきや特色のあるデザインでもよい。

 

5. 観光地の混雑緩和策

近年、国内観光客の増加に伴って、有名観光地はかなりの観光客で混雑している。今後も増え続けるであろう観光客をいかに安全に捌いて、満足感を持って帰ってもらうか但重要な課題である。例えば、敦煌の莫高窟もそうである。窟の前の通路は狭い。狭い通路を広くするのは歴史的遺産であることを考慮すれば問題が大きい。いかに今の施設で混雑の解消を図るかである。例えば、通路の一方通行、コース別見学窟の設定、日本の無償協力で造られた敦煌石窟文化財保存研究展示センターのようなインフォメーション・センターによる見学前の案内、イヤホーンガイドの導入、制限入場制度等の検討が必要である。また、嘉峪関の魏晋墓地下画廊は当時の人々の生活の一部が伝わる煉瓦に書いた絵は面白い観光資源であったが、6号室という一墓だけが開放されているだけで10人も入室すると満員になってしまう。付近にはおよそ1,600程度の墓がある。その内今までに13基が発掘されている。にも係わらず観光用には一墓だけしか開放されていない。建設中の資料館が早期に完成することも待たれる。

 

6. 若年着および家族旅行の誘致のための努力

日本から中国への観光客は順調に伸びているものの若年層の来客は少ない。1995年の日本の法務省統計によると日本から中国に訪れた客のうち、29歳までの客は全体の20%である。日本人全体の海外観光客の35%が同年代であり特に女性の場合は全体の50%になっている。その層の開拓が今後の中国への観光客誘致の帰すうを左右するものと思われる。若年層の誘致策としては、観光商品の中に若年層向けとして例えば、氷河見学、祁連山脈登山、黄河の川下り等の企画してみることも検討に値する。また、女性層には特にトイレの改善が最も急がれる。

 

 

 

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